あのんの辞典

 

 

「わ」

 

 

【歪曲】(わいきょく)名詞 (→恐喝用語三点セット

 

【矮人観場】(わいじんかんじょう)四文字熟語 わたしはこれを装ってその場をやりすごすのも処世術の一つであると学び、しかしまたその姿でわたしを愚人であるとする者が傍らにいたらとおそれる小人である。ま、わたしは器が小さいんだろうな。当人の器の小ささもふくめて、それが重大な瑕疵でなければ特に気にしないで生きていける人は人生が楽だ。

 

【猥褻】(わいせつ)名詞 各個人の性的嗜好に健全に合致していることを示す言葉。あるものが人から猥褻だと指摘されることは、それを猥褻だと指摘する人によって求められていることを意味する。

 

【わかってくれない】(わかってくれない)低能語 わかってないのはおまえのほうだ、とまわりの皆が言うのを我慢していることを理解できない低能がしばしば口にする言葉。この言葉を発する者は本気でそう考えているらしい。おそろしいことだ。

 

【若者】(わかもの)名詞 ばか者のこと。若さの価値は無知であることに気づくと卒業できる。

 

【我が物顔】(わがものがお)名詞 寄生虫の顔のこと。

 

【忘れる】(わすれる)動詞 忘れることがその最善の解決方法であるような問題が自らの人生の大部分を占めていることに気づいた人は、生まれつき忘れることに長けている人がうらやましくてしかたない。くそ、あいつは今まで人生を楽しんできやがった、どうしてだ不公平だ、あんな何も覚えられない何も気づかない馬鹿のくせしやがって。しかし世の中には、たいへん賢いにもかかわらず自分に都合の悪いことはすぐに忘れることのできる人もいる。やはり不公平である。

 

【笑い】(わらい)名詞 笑いは環境の産物である、とかなり多くの場合に言い切ってしまうことができる。笑いが期待されている環境下では、箸が転がっただけでも大笑いする。禁止されれば禁止されるほどそれを行いたいという誘惑が生じ、かつその誘惑に打ち勝つのに多大の努力が必要な人にとって、笑ってはいけない状況というのは同時に笑わずにはいられない状況である。笑ってはいけないところで笑ってしまい人生をあやまった者がいたとすれば、後でその者を笑ってつりあいをとってあげよう。

 

【笑い者】(わらいもの)名詞 馬鹿にされ笑われている者のこと。二種類あり、なぜ自分が馬鹿にされ笑われているかわからない者と、自分の言っていることがなぜ馬鹿にされ笑われるかわかっているが立場上きちがいじみたことを口にしなければならない者とである。前者に対しては、もしあなたにあふれるほどの親切心があるのなら諭すことを試みてもいいかもしれないが、たぶん聞く耳を持っていない。後者に対しては、その者の属する組織や社会がどのようなものか考察するとよいが、おそらくこの者たちの存在を許すべきではないとの結論が得られるだろう。

 

【悪い】(わるい)形容詞

 日本人「嘘をつくのは悪いことだ」

 某国人「嘘をついているのに、それにだまされない相手が悪い」

 

【悪口】(わるくち・わるぐち)名詞 ある人が不特定多数の人からどの程度の関心を持たれているかを示す指標の一つ。また、誰かから誰かの悪口を聞かされたら、それを言った者は自分のいないところで自分への悪口が確実に言われていると思っておくのはまちがいではない。

 

【悪ふざけ】(わるふざけ)名詞 欣快の程度が不快の程度を上回らない失敗したお遊びのこと。なお、わざとするとその人間の評価に影響を与えるので、物語の主人公以外はしないほうがいい。

 

【われ思うゆえにわれあり】(われおもうゆえにわれあり)成句 子供の頃、デカルトのこの言葉を聞いて、「馬鹿なはずでない人がどうしてこんなことを言うのだろうか」と思った。反射的にヒュームの述べたのと同じことを感じたんだね。いや、その時はヒュームを知らなかったんだけど。のち、プラトンからアウグスティヌス、それを利用したキリスト教教義の流れを知って、デカルトの言う「理性」は「なんじゃこりゃ」という反応に値することを理解した。「こう言わざるを得ない状況」という「いかがわしさ」があったのである。疑問をいだいた過去の小学生のわたしをほめておこう。

 

【破鍋に綴蓋】(われなべにとじぶた)俚諺 人に言われてやっと自分が破鍋や綴蓋であることに気づく人もいる。