あのんの辞典

 

 

「ほ」

 

 

【忘却】(ぼうきゃく)名詞 覚えなければならないことが多い若年のころはやっかいな現象だと疎ましいが、忘れたいことが多くなる年代に突入すると貴重な能力だと思えてくる。記憶と忘却が選択可能であれば、人は自分が生まれてきたことに絶対に文句を言わないだろう。

 

【某国人】(ぼうこくじん)名詞 われわれは某国人であるという理由だけで信用がなく世界中で嫌われている。日本人は日本人であるという理由だけで世界中で信用があり好かれている。これは明らかにおかしいのでわれわれは日本人に謝罪と賠償を要求する。金くれ。

 

【報酬】(ほうしゅう)名詞 その結果に対してではなく、その努力に対して報酬を支払って欲しいと言う人が世の中にいるらしい。努力に報酬が支払われるということがあるとすれば、それは努力を継続する忍耐力をつけるための動機づけでしかなく、ごく限られた条件下でしか存在しえないわけだが、今までに一度も成果による報酬を受け取ったことのない人は自分が人間の失敗作であることにまだ気づいていない。

 

【宝石】(ほうせき)名詞 より財力のある者を所有したいという意志を持った鉱物のこと。店頭に陳列される程度の商品はもちろんこれに該当しない。

 

【呆然】(ぼうぜん)名詞 もとの考え方は決して間違ってはいないものの、明らかに間違った方向にその意志や情熱が発現している場面に行き合わせた人が示す反応の一つ。

 

【法治国家】(ほうちこっか)名詞 国民によって作られた法律でその国を治めている国家。銃口によって治めている場合は社会主義国家とか共産主義国家と呼ばれる。

 

【報道管制】(ほうどうかんせい)名詞 権力が事実の伝播を阻止すること。公正な選挙で権力が選択されている国では自国民に対する犯罪となりうるが、事実を自国民に教えないことで権力を維持している国ではこれをしないことが犯罪となる。

 

【放屁】(ほうひ)名詞 冷たいアルコール性飲料を大量に摂取した翌日は放屁に注意しなくてはいけない。屁だと思っていたら別の物が出る可能性がある。

 

【ホームレス】(ほーむれす)名詞 英語からの「家のない人(々)」の意。日本では「浮浪者」の言い換え語として遣っている。言い換えてすませようとする人間の醜悪な面を教えてくれる代表的な語彙。

 

【訪問】(ほうもん)名詞 

「おや。びっくりするじゃないか。いきなり訪ねてきて」

「いえ、その。ちょっと近くまで来る用事があったもので」

「へえ、そうかい。いつから人類は恒星間航行ができるようになったんだい、知らなかったよ」

 

【募金】(ぼきん)名詞 応じることによって人は安易に虚栄心を満たすことができる。自分とは関係が希薄な事柄に対するものほど小額で大きな虚栄心をより満足させることができるので馬鹿はこれをたいへん好む。ただ、このような馬鹿が多数いるおかげで切実に支援を求めている人たちが助かっていることもあるのも事実である。

 

【墓穴を掘る】(ぼけつをほる)慣用句 通常、自らの存在基盤を破壊してしまうほどのあまりにも愚かすぎる行為をあざけりの感情を持って指し示す言葉であるが、その存在自体が自らの滅亡を指向してやまない意味不明の個人や組織体においては、この行為によって周囲に垂れ流す迷惑と同程度の笑いをまき散らしている。いや、別に笑わせて欲しくはないのだが。

 

【母国】(ぼこく)名詞 その人が優秀であれば優秀であるほど母国から逃げ出そうとする傾向がある国では、その人が優秀であることを喜べばよいのか、その人の母国が悲惨であることを悲しめばよいのか。その悲惨な国から脱出する能力のない人たちを哀れめばよいのか、あざ笑えばよいのか。とりあえずわたしは日本人として日本に生まれて幸せだ。

 

【母国語】(ぼこくご)名詞 その言葉を話す環境に育っただけで立派に話せると勘違いしていると馬鹿だと思われる。まあそんな奴はだいたい馬鹿だ。また、寄生虫として育つと悲しいことに母国語は片言しか話せない。立派な寄生虫としての証拠である。

 

【ほっぺたが落ちそう】(ほっぺたがおちそう)慣用句 なぜおいしいものを食べたときにこの表現を遣うのかわからない人がいる(らしい)。体が良質の食べものを欲しているとき、甘いものを食べると頬の内側が痛重く(いたおもく)なる。その重さたるや「ほっぺたが落ちそうな重さ」なのである。これは感覚としてそう感じる。糖分に対する反応だと思うがそれは専門家に任せよう。わたしが思うのは、現在の日本で「体が良質の食べものを欲している人がかなり少ない」といううれしい現状である。そのうれしい現状ゆえにこの言葉の意味を知らない人がいる。わたしは貧乏な育ちでがりがりに痩せていて子供のころはいつもお腹をすかせていた。なにかの拍子に甘いものを食べる機会があると、たまに「ほっぺたが落ちそう」な痛重さを経験した。何歳のころか覚えてないがその最初の経験時、子供心にあの「ほっぺたが落ちそう」という言葉はこれを指していたんだな、と知った。

 

【骨】(ほね)名詞 多くの人は普通人間の骨を直接見ることはないが、したくなくても折ったり拾ったりの行動は状況により期待されることがあるので、普段から自分の骨や知り合いの骨で練習をしておくとよいかもしれない。

 

【ボランティア】(ぼらんてぃあ)名詞 人を助けるのはよいことだ。しかし、人を助ける前に自分を助けるべきだと気づかない者に限って、なぜやたらはりきって人を助けようとするのだろうか。

 

【ポルノ】(ぽるの)名詞 性的刺激を主目的とする各種の表現物のこと。為政者の品性が下劣だと、自らの下劣さを一般概念に敷衍させ、これらの表現物は禁止される傾向がある。

 

【本性】(ほんしょう)名詞 糊塗しても本性は必ずあらわれる。その者が今までなにをしてきたか、どのような者であったかを知ることで、一貫した行動原理を発見することができる。その行動原理がその者の「本性」である。「嘘をついて人を騙す者」は必ず「他者の善意を利用」して「法律や規則を破る」し「盗む」。ただ、これらの連中は自分たちが犯罪者であることを自覚している。これ以上にどうしようもないのは、「愉快犯」から「確信犯」への道筋をたどる低能どもである。(→愉快犯

 

【本当の】(ほんとう・の)名詞・格助詞 「自分に都合のよい」の意。「私の述べた話は本当のことだ」という発言は「私の述べた話をあたなが信用してくれたら、私にとって都合がよい」と聞き取ることができるし、通常はそうとしか聞き取れない。

 

【本音】(ほんね)名詞 口に出して言わないことでその価値は守られる。誰かに知られると価値がなくなるどころか災難がふりかかるので、口を閉ざすことを覚えるのが大人になる第一歩である。

 

【煩悩】(ぼんのう)名詞 抑え込むとそのうち爆発するし、解き放つとすぐ破滅と友達になってしまう。すっぱりと縁を切りたくても、どうやら煩悩がもとになって人間というものができているらしい。腰をすえて根気強くいやでも死ぬまでつきあっていかなくてはならないようだ。やれやれ。