あのんの辞典

 

 

「と」

 

 

【動機】(どうき)名詞 その行為における動機の意味性がどれほど見出しがたいかの程度によって、その者がどのような者であるかわかるときがある。そのような動機でそのようなことをしてはいけない、と人に思われる者はたぶん例外なく精神の幼い者か馬鹿である。

 

【東京大学】(とうきょうだいがく)名詞 海外の大学のことを含めずに東大を考えてみる。東大は日本で一番の大学である。「その上」がない。すると、もし東大以上の大学があればそこへ当然入学するようなたいへん優秀な者であっても、しかたなく「程度の低い東大」へ入ることになる。つまり、東大には凡人が想像もできないようなきわめて優秀な者がごろごろしている。東大へ死にそうになるほど勉強してどうにか入った学生にとっては居心地がよくないだろうなあ。もちろんそのような学生たちであってもじゅうぶん優秀なんだけどね。

 

【倒錯】(とうさく)名詞 性的倒錯と政治的倒錯がある。前者はほとんどの場合自覚があり、これは通常その倒錯を隠そうとする行動から自覚の存在をうかがうことができる。後者はそれが倒錯であることを理解できるような能力を持った人ははじめから陥ることはない。性的倒錯はその自覚が社会への発露の抑止力となりうるが、政治的倒錯は社会の紊乱を目的としているため道徳倫理は眼中になく、愉快犯からテトリストへと悪化する。日本では政治的倒錯者が市民団体を詐称して多く活動している。

 

【倒産】(とうさん)名詞 主に企業がつぶれることを言う。通常、避けたい現象とされているが、その国の大多数の国民によって早く倒産しろと願われている新聞社もある。

 

【同情】(どうじょう)名詞 病気などで相手の体の悪いことに同情して出る言葉はだいたい受け入れられるのに、相手の頭が悪いことに同情して口にした言葉が嫌われるのはなぜだろう。

 

【盗賊】(とうぞく)名詞 盗愛其室不愛異室故竊異室以利其室。賊愛其身不愛人身故賊人身以利其身(『墨子』「兼愛」)。竊む者は誰か。賊う者は誰か。「盗賊」である。

 

【投票】(とうひょう)名詞 お腹がすいたからといって人の物を盗んで食べてはいけない。自分にとって利益がある政策を掲げているからといって馬鹿やきちがいを騙す政党に投票してはいけない。投票権を持つ年齢までにちゃんと学んでいるはずである。

 

【動物愛護】(どうぶつあいご)名詞 自分のするべきことを見つける能力のない者が陥る悪癖の一つ。「動物愛護」を名目に他人に加虐行動をとることで自慰を行う。自称「動物愛護団体」の主張は、他の生命を食べないと生きられない食物連鎖のなかに人間がいることすら理解できない者たちにしかたぶん理解できない。どうやらこの連中の遣う「動物」という言葉に人間は含まれていないようだ。

 

【土方カーブ】(どかたかーぶ)名詞 野球好きの土木作業員が物を投げると必ず曲がってしまう現象を指す。投げても曲がらないうちはまだ半人前らしい。

 

【徳】(とく)名詞 同じ事であっても、それがとてつもない大金持ちによって行われたものか、しがない貧乏人によって行われたものかによって、徳行になったりならなかったりすることがある。これは徳というものの普遍性に疑問を呈すればいいのか、それとも普遍性の存在そのものが実生活では単に議論のための概念であると達観すればいいのか、それらを考えて時間をつぶす種を与えてくれる。そして、結論として徳云々より生活費の安定供給元が重要だと気づけば正解である。

 

【毒】(どく)名詞 一般に身体に害になるものの総称。死にたくなければ、暗殺者の作った料理や日本近隣の某国の食料品はなるべく避けたほうがよい。

 

【独裁国家】(どくさいこっか)名詞 独裁国家の出現要因の一つは、独裁でないと国を治めることができない社会的状況であるが、現在の地球上の独裁国家ではむしろその支配の容易さに主眼が置かれて独裁という手法が採用されている。対立と弾圧よりも協調と共生がより多くの利益が全体に行き渡るのは自明のことであるにもかかわらず、他者との意見の調整より引き金を引くほうが単に楽であるから相手を殺す、という人類に対する犯罪を平気で行う人の住む地域に出現しやすい。

 

【読書】(どくしょ)名詞 字の読める人にとっては本を読むこと。字の読めない人にとっては、自分が本を読むふりをしている姿を人に見てもらうこと。

 

【読破】(どくは)名詞 読み破ること。読み終えた直後に確実に破らないと正式な読破にはならないので注意が必要である。細かく破ると良いという説と激しく破ると良いという説の二説が対立している。

 

【特別扱い】(とくべつあつかい)名詞 自分を特別扱いせよと主張する者が、人に迷惑をかけることのみ以外の人生をおくることはない。

 

【匿名性】(とくめいせい)名詞 この仮面をつけるとあなたがどこの誰か誰もわかりませんよと猫なで声でその仮面を売りつけようとする連中がつけている仮面のこと。

 

【渡航関連情報】(とこうかんれんじょうほう)名詞 命の値段の安い国へ渡航するときは、その国の命の値段の相場以上のお金は持ち歩かないようにしたほうがいいでしょう。

 

【戸締り】(とじまり)名詞 泥棒が「家の戸締りをするのは他人を信用していない証拠だ」と言っても誰も聞く耳を持たない。

 

【読解】(どっかい)名詞 当辞典はわかりやすい記述を心がけているわけではないので、読んでも意味のわからない項目があると思います。それらは皆さんの不得意分野であるがためであったり、それに関する知識の欠落のためであったり、根源的な知性の欠如であったりしますので、あまり気にしないでください。気にしていたら生きていけなくなります。(→あのんの辞典

 

【友達】(ともだち)名詞 悪い友達は多いのによい友達は少ないということに気づく人はいても、自分がその悪い友達であることに気づく人はいない。

 

【取り巻き】(とりまき)名詞 賢明な助言者がいなければ道に迷うし、追従者だけを従えている者は自滅する。小権力者を見かけたら、そのまわりに群がっている者を観察することでしばし人生の無常を楽しめる。

 

【努力】(どりょく)名詞 男と女では同じ目的であっても異なる手段をとることがある。たとえば、女は自分を美しく見せるために化粧をしたりするが、目の前のその女を美しく見るという同じ目的で男は酒を飲む。そして、それぞれの業界の売上高を調べてみれば、男のほうが女より努力しているということがわかるであろう。

 なお、人は一般に「逃げる努力はそれなりにするが、立ち向かう努力は最後に選択されがちである」という傾向がある。上記の化粧と飲酒はどちらの努力であるかを考える楽しみを諸氏の前に置くことにする。

 

【徒労】(とろう)名詞 自分の影に向かって威嚇侮蔑脅迫を延々と続けること。まわりの人たちはかかわりたくないのでそれは無視され、徒労は静かにそして確実に蓄積する。

 

【泥棒】(どろぼう)名詞 泥棒も生きていかなくてはならない、だから日本は泥棒が盗みやすいよう各種の制度を整えなければならない、という主張を公にできる日本の現状は明らかにおかしい。なぜそんなことを主張する連中が今日ものうのうと暮しているのか。