あのんの辞典

 

 

「み」

 

 

【見栄】(みえ)名詞 評価はその内容に即して与えられるということを認めたくない者が好み、これは努力や責任の放棄と親しい関係にある。その者はあざ笑われていることに気づく能力というものがこの世に存在していることすら知らないからだろう。

 

【水着】(みずぎ)名詞 隠すことで隠したものの価値を上げようとするために使用される主に布状のもの。購入代金分だけでも価値が上がればよいが、と他人が思うのはおせっかいなのだろう。もちろん、頭からかぶる紙袋のほうがずっと安いから経済的ですよ、とは絶対に言ってはいけない。

 

【見世物】(みせもの)名詞 昔は外形的な奇形を見世物にした。現代ではそのような事は行われていない。しかし、こわいもの見たさという心理が時代とともに消失したわけではないので、形を変えて内面的な奇形が提供されるようになった。さて、外形的な奇形であればどんな馬鹿でもそれゆえ見世物になっていることはわかるが、これが内面的な奇形である場合、低能はそれが奇形であるので見世物になっていることがわからないときがある。価値があるので求められていると誤ってしまうことがある。またこれは、その内面に奇形を持つ者にもあてはまる。自分が見世物にされていることが理解できず、そしてそれを知ることがないわけであるな。

 

【見立て】(みたて)名詞 わからないふりをすることで困惑や軽蔑の感情を隠す努力をしないですむ。

 

【見た目】(みため)名詞 見た目が悪くてもそれがどれほど喜びの源になるかがわかっているので、普遍的な人類共有の財産となっている。ただし、共有を拒む人もいる。

 

【淫ら】(みだら)名詞 他者の行為について述べる場合は「そんな気持ちのいいことは自分がしたい」を含意し、自らの行為の場合は「わたしはこんなにも気持ちがいい」を含意する。どちらにせよ、かなり気持ちがいいらしい。

 

【密航】(みっこう)名詞 日本近隣の某半島で出版される某語の辞書にはなぜか載っていない言葉の一つ。

 

【認める】(みとめる)動詞 首肯できない内容であればその存在すら認めないような人たちがいる。これらの輩たちは自分の意見に対しては無批判である。その内容にかかわりなく、最も厳しい目で見なければならないのは自己自身であるということが理解できない、あるいは理解しようとしない、さらには最初からそんなめんどうくさいことは絶対にするつもりがない連中は、悲しいことにある割合で勝手に人間として生まれてくる。

 

【源】(みなもと)名詞 これが恋巡り会いたる驚きのその源の股ぐらを愛で  あのん

 

【身なり】(みなり)名詞 気にする人は自分の真価の自然な表出だと人が誤解してくれたら嬉しいなと考え、かまわない人は非凡な自らの才能を隠すためならどんな格好であろうとあえて装うことを決心した人と誤解して見られたら嬉しいなと考えている。しかしどうして共に誤解を期待しているのだろうか。

 

【醜い】(みにくい)形容詞 自分が醜いからといって自分以外が醜くないというわけではない。同様に、自分が醜くないと思い込むことによって自分以外よりはましだと考えてもいけない。

 

【ミニスカート】(みにすかーと)名詞 生地の節約のためより、その下のパンツを脱ぐまでの時間の節約のためにはく女性がたぶん多い。例えば一か月が一週間に、一週間が一日に短縮される。

 

【身代金目的拐取】(みのしろきんもくてきかいしゅ)名詞 犯人の射殺を第一目的に据え、第二以下の目的を敢えて掲げず実際にそう行動すれば根絶される。これが最良で唯一の方法だと誰もがわかっているが、誰も言い出せない。「かわいいのは自分だけ」がなぜかこの場合は許される。

 

【身の程】(みのほど)名詞 自省する能力のない者はこの言葉の意味がわからないどころか、おそらくこのような言葉があることすら知らない。

 

【耳鳴り】(みみなり)名詞 いやはや耳鳴りが突然始まったときはびっくらこいたよ。うわ、耳鳴りだあ、これはたまらん。夜、寝ようとしたら大音量の耳鳴りではないか、寝られんではないか。もうね、頭蓋骨の中身をかきむしる想像に慄然とするわけでありますよ。そんなことしたら即死しますよ、と。そしてわたしは自己流TRTで耳鳴りを暗騒音化し、耳鳴りを忘れることに成功した。いや、耳鳴りはあいかわらずします。でも意識してこちらからわざわざ聞きにいかないと気づかないんですよ。

(ご注意:自己流TRTは自己責任で勝手にやったものです。医療機関にかからなかったので労力も費用も無視できる程度の僅少でありましたが、そうだからといって当辞典は自己流を勧めるものではありません。他の原因の耳鳴りである可能性があるので耳鳴りのある人は病院へ行きましょう)

 

【土産】(みやげ)名詞 あ、これいいな、と思うけれど、わざわざ財布を取り出すまでにはいたらない品物は、お土産にもらうのにちょうどよろしい。

 

【宮本武蔵】(みやもとむさし)人名 吉川英治の書いた「講談武蔵」は全部創作であります。史実とは一切関係がありません。教養がなかったりこのことを誰かに教えてもらわなかったりすると、あれが本当だと信じる馬鹿が一人できあがります。

 

【茗荷】(みょうが)名詞 しまった。茗荷を食べるのを忘れた。

 

【見る】(みる)動詞 世の中には自分の見たいように人や物事を見る能力のある人たちがいる、あるいは、自分の見たいようにしか見られない人たちがいる、との意見を自分が言われる側であることに気づかずに、他人がそうであると言い続けている者がいる。対立する意見の根拠をまだ発見できていないということを自ら語って無知を露呈している。とりあえず鼻先で笑っておこう。

 

【民意】(みんい)名詞 示威行動で自慰をすることを好むきちがいの声を民意として受けとめてはいけない。

 

【民主主義人民共和国】(みんしゅしゅぎじんみんきょうわこく)名詞 国名の末尾につけられることのある言葉。民主主義ではなく、人民がその国の主権を持っておらず、共和国でない国によって使用される。

 

【民族】(みんぞく)名詞 収斂進化により生物学上のヒトと誤認される形態を持つ生物集団が「某民族」と呼ばれる場合もある。

 

【民族性】(みんぞくせい)名詞 民族性は環境と歴史による影響で形作られる面を持つ一方、民族性によってその社会の歩む方向を決めてしまう面がある。不幸にもたまたま劣悪な環境と無残な歴史を持ってしまった民族は、その責任を転嫁する味を覚えて必ず害を撒き散らす嫌われ者になってしまう。過去の経緯と現状を認識できる能力がその民族にあるのなら、悪循環から脱することができるのだが。