あのんの辞典

 

 

「へ」

 

 

【平均】(へいきん)名詞 平均的知能を持つ大人の知的能力は、せいぜい「最大限に譲歩してどうにか十歳ぐらい」にしか感じられない。知識は長く生きてきたぶんだけあるだろうが、疑問を発見したり物事を考える力はよくてその程度との感触がある。これからその大人が出会うかもしれないし出会わないかもしれない疑問や物事は、十歳のわたしはすでに出会っていたし考えていたように思う。わたしが十歳ぐらいのとき、友人にとても賢い人がいた。現在のわたしのほうが当時のその友人より知識はあるが、賢さは今のわたしよりその時期の十歳の友人のほうが賢いと確信を持って言える。それほどその友人は賢かった(思い出したが、その友人とは「この『世界』をどう解釈するか」についてよく話した。物理学的解釈から認識論的解釈への過渡期であった。わたしたちはそのような小学生であった)。誰もが基準を自分に置きたがる傾向があるが、その友人の影響からかわたしの場合はその賢い友人が基準になってしまっている。それゆえわたしゃ一生走り続けても「わたしが考える自分がそうあるべき程度」に追いつけない馬鹿だと自分のことを思っている。

 

【平均寿命】(へいきんじゅみょう)名詞 人生を何年楽しめるか、あるいは何年苦しみ続けて生きなければならないかを示す数値。自国を呪う人々が多い国は平均寿命は短い。やはり長くは生きたくないのだろう。

 

【平和運動】(へいわうんどう)名詞 平和な国や地域で行われる平和という言葉を唱えることで自慰をしたり金をもうける行為のこと。最も平和を欲している平和でない国や地域では決して行われない。その理由はこの運動をしている人に尋ねてみよう。

 

【平和主義者】(へいわしゅぎしゃ)名詞 平和のためにあらゆる手段を使って反対者を平気で殺せるようにならないとまだ一人前ではないらしい。より多くの者を殺せば殺すほど仲間内で格が上がるので、皆が皆、人を殺したくてうずうずしている。

 

【平和団体】(へいわだんたい)名詞 日本が平和であることに我慢できず、いいがかりの種を見つけては騒ぎを起こしている団体のこと。傷害殺人等の犯罪の代償行為を求めて加入する者が多いという問題がある。

 

【隔たり】(へだたり)名詞 努力や練習や勉強や修行をして追いつける隔たりはそれほど気にすることはない。努力や練習や勉強や修行をすればよいだけの話である。なにをどうやっても追いつけない隔たりもまた気にする必要もない。なにをどうやっても無駄だからである。

 

【蔑視】(べっし)名詞 もちろん根拠のない蔑視は非難されるべきであろう。しかしなぜ根拠のある蔑視にまで文句を言うのだろうか。鏡に向かって言わないというのは立派な嘘つきだと思うが。

 

【ペット】(ぺっと)名詞 子供の代替物としてペットを飼うのはまあ許せるとして、ペットの代替物に子供を飼うのは許してはいけない。

 

【偏見】(へんけん)名詞 それが偏っていない見方であることが広く知られると困る人たちが常用している封印の表面に印刷されている言葉。

 

【変態】(へんたい)名詞 自分たちより気持ちのいいことをしている人たちを羨望の感情を持って対象化したときの呼称。ま、気持ちのいいことに関しては変態と呼ばれないうちは半人前ということだ。