あのんの辞典

 

 

「そ」

 

 

【相関関係】(そうかんかんけい)名詞 馬鹿をだます簡単な方法の一つが、相関関係を因果関係であるかのように述べることである。いくらなんでも十歳程度の知能があればこのすり替えに気づくので、このことを述べるということは、相手が十歳程度以下の知能の持ち主であると主張者が考えていることを意味する。

 

【掃除機】(そうじき)名詞 正直であることがのぞましい。

 

【相談】(そうだん)名詞 なぜその件を人に相談したいのかと尋ねると答えられなかったり答えない人がいる。そのような人は誰の意見も最初から聞くつもりはない。

 

【速読術】(そくどくじゅつ)名詞 文章が人より速く読めるふりを装う術のこと。あまり字が読めない者がその埋め合わせとして好む場合が多い。もし、早飯をさかんに自慢している者が目の前にいても、かかわりあいを持たなくてすむという理由で誰も何も言わないが、早飯が自慢になると思い込んでいる者にはそれがわからない。

 

【底】(そこ)名詞 浅いと馬鹿にされるし、抜けていると相手にされない。

 

【卒論】(そつろん)名詞 まあわたしは文学部であったのであるよ。わたしの専門に基本的な偉大で膨大な文書群があって、それにはたいへん権威があった。わたしはその文書群の一定の範囲を「ひとつの視座から読んだ」。わたしが卒論として書くつもりのものは「まとまった先行研究がなかった」。多くの図書館を駆けずりまわって探した文献には断片的な解釈ぐらいしかなかったからなあ。わたしの切り口は特異なものでなかったが、今までだれもやってなかった。もうね、眼を血走らせて半分泣きながら読みましたね。学部の学生風情がそう深く読み込めるわけではなかったが、わたしが書いた卒論程度のそれについての「ひとまとまり」がそれまでになかったのだから、それはそれでいいんじゃないかな。

 

【袖】(そで)名詞 昔は濡らすのがはやっていたのでいつもびしょびしょであった。しかしそのうち、借金を申し込まれるとすぐにこれのない服に着替えて断ることが多くなった。

 

【存在】(そんざい)名詞 「存在の存在性」に挑戦し「世界を了解しよう」との野心をいだいている青少年たちよ。諸君は特別な少数者ではない。思索を始めれば誰でも通過する関門である。なにがなんでも通り抜けるか、疑問のまま一生をすごすか、あるいは挫折して諦めるか、自分で選択しなさい。わたしゃ「ほとんど世界の崖っぷち」まで旅をして、しかしそこで元いた場所に同時にいる自分を発見し、十三歳のとき幸運にも独力で突破することに成功したが、かなり疲れたよ。

(「存在の存在性」とは、具体的存在物を存在たらしめる「存在という形式」が存在するのかしないのか、という意味です。いや、この問題、十二歳当時のわたしの最重要問題でした)

 

【尊重】(そんちょう)名詞 上品なしぐさや丁寧な言葉遣いで相手を馬鹿にすること。