あのんの辞典 注釈

 

 

「い」

 

 

【一神教】(いっしんきょう)→言語能力獲得期に日本語環境で育つと「自然の音を言語として処理するしくみ」が脳の中に形成される。

 人類の言語や音への対応としてはきわめて特殊なことであるが、ここではわたしはそれに優劣の判断を持ち込むことはしない。ただきわめて特殊なことであるだけである。

 さて、わたしは思うのであるが、日常的に「自然のささやき」を聞いている者は当然ながら「森羅万象がなにかを言っている」ことを感じているわけである。われわれの世界の背後には神々やら魑魅魍魎やらがいると素朴な心情として信じることは当然である。

「それがなにかはわからないけれど、なにかがなにかを言っている」、「そのようななにかがたくさんまわりにいる」。

 そのような精神世界で日本人は生き続けてきた。そんなところに一神教が入ってきても相手にされるはずがない。

 新たに発生する宗教の形態的進化は「アミニズム→多神教→一神教」と歴史的変遷をたどって体系化が進むが、概念化が高度になるにしたがいより「神に対する絶対的な信仰心」を要求するようになる。なぜなら、「そこに根拠はなにもないから」である。

 欲望を歴史的に投影し続けて「宗教の低級化」を推し進め一神教にまで捏ねあげてしまった。

 根拠の証明は論理的破綻しかもたらさないことを考えると、「日本語環境で育ったかなり賢い一神教信者」は、自分のまちがいを一生かけて言いつくろっているお馬鹿さんに見えてしかたない。いや、賢くて誠実だとは思いますよ、その人たち。ただ自分自身の迷路のなかで迷い続けているだけで。「まちがえたものを選んでしまった」んですね。二重に頭がおかしいんだけど、かわいそうだが事実である。